飼い主様に覚えておいてほしいネコちゃんの病気
日本にはたくさんの種類のネコちゃんがいますが、猫種によってかかりやすい病気が違います。猫種別に注意して頂きたい病気をご紹介します。
猫種別のかかりやすい病気
アビシニアン
活発な種類の猫種なので、よく運動させるようにしましょう。細身なので食事の量をきちんと管理するほか、歯周病にもかかりやすいので注意が必要です。
かかりやすい病気
- 歯周病
- 網膜変性症
- 慢性腎不全
- 心因性脱毛症
- 家族性アミロイドーシス
- 甲状腺機能低下症
など
アメリカンカール
外側に柔らかくカールした耳が特徴的な猫種ですが、カールしているため耳の中の環境が悪くなり、外耳炎などの病気にかかることがあります。
かかりやすい病気
- 外耳炎
- 毛球症
- 角膜炎
など
アメリカンショートヘアー
丸みのある大きな目、筋肉質でがっしりとした体型などが特徴的なネコちゃんです。太りやすいので、健康管理に注意する必要があります。
かかりやすい病気
- 肥大型心筋症
- 急性腎不全
- 脂漏性皮膚炎
- 流涙症
- 熱中症
- 眼瞼内反症
- 外耳炎
など
スコティッシュ・フォールド
心臓や腎臓の疾患が起こりやすい猫種です。遺伝的に骨の異常も起こりやすいので、成長が続いている間は骨格の状態に注意するようにしましょう。
かかりやすい病気
- 心不全
- 慢性腎不全
- 腎臓病
- 遺伝性骨形成異常症
- 熱中症
- 眼瞼内反症
など
ソマリ
アビシニアンを改良した猫種で、「ロングヘアグレードアビシニアン」とも呼ばれています。毛づくろいの時に毛を飲み込み、毛球症になったりすることがあります。
かかりやすい病気
- 腸閉塞
- 尿路結石症
- 毛球症
- 熱中症
- 溶血性貧血
など
ノルウェジアン・フォレスト・キャット
長毛の猫種なので、こまめにお手入れする必要があります。また、毛が長いので、夏場は温度調節に気を配って熱中症に注意するようにしましょう。
かかりやすい病気
- 熱中症
- 毛球症
- 眼瞼内反症
- グリコーゲン貯蔵病
など
ヒマラヤン
ヒマラヤンは遺伝疾患が多いとされていますが、命に関わるような重大な病気は少ないため、平均寿命もやや長い12~15歳と言われています。鼻が短く涙が溢れやすいので、目のまわりを清潔に保つために、こまめに拭き取るようにしましょう。
かかりやすい病気
- 流涙症
- 毛球症
- 熱中症
など
ペルシャ(チンチラ)
長く密集した被毛なので、こまめにお手入れする必要があります。また、涙が出やすく目やにが溜まりやすいので、目のまわりを清潔に保つために、こまめに拭き取るようにしましょう。
かかりやすい病気
- 流涙症
- 網膜変性症
- 白内障
- 多発性嚢胞腎
- 歯周病
- 熱中症
- 毛球症
- 眼瞼内反症
など
マンチカン
短い足が特徴的で、そのため関節性疾患にかかりやすい猫種です。特に椎間板ヘルニアには注意する必要があります。
かかりやすい病気
- 椎間板ヘルニア
- 尿路結石症
- 毛球病
- 猫伝染性腹膜炎
など
ロシアンブルー
ロシアンブルーは太りやすい猫種なので、食事の量には注意するようにしましょう。肥満は糖尿病や関節炎などの病気の原因となることがあります・
かかりやすい病気
- 糖尿病
- 尿路結石症
- 慢性腎不全
- 膀胱炎
- 尿道炎
など
ネコちゃんにこんな症状はありませんか?
ネコちゃんの日々の健康管理は、飼い主様の「気づき」にかかっています。大切なネコちゃんの全身をみて、いつもと違った点はないかチェックするようにしましょう。少しでも「おかしいな」と思った時には、すぐに尼崎市のとも動物病院までご連絡ください。
嘔吐
ネコちゃんの嘔吐には、問題のない生理現象の場合もありますが、頻繁に嘔吐を繰り返していたり、下痢をともなっていたりする場合などには病気の可能性がありますので注意してください。
考えられる主な病気
- 巨大食道症
- 甲状腺機能亢進症
- 胆管炎・胆管肝炎
- 食道狭窄
- 慢性腸炎
- 子宮蓄膿症
- 自律神経障害
- 毛球症
- 胃内異物
- 食道内異物
など
下痢
下痢を起こしている場合、脱水症状を引き起こす危険性がありますので、数日経っても症状が改善されない場合などには、すぐに当院までご連絡ください。また、寄生虫が原因で排便障害が起こっている可能性もありますので、複数のネコちゃんを飼っている場合には、下痢をしているネコちゃんと他のネコちゃんとを隔離するようにしましょう。
考えられる主な病気
- 甲状腺機能亢進症
- 胆管炎
- 胆管肝炎
- 慢性胃炎
- 寄生虫性腸炎
- 胃潰瘍
- 猫パルボウイルス性腸炎
- 猫コロナウイルス感染症
など
尿の異常
排尿の回数が多くなったり、尿が出なかったり、尿の色や量がいつもと違う場合には、病気を疑う必要があります。排尿量が増える病気として糖尿病、腎不全などがあり、排尿量が減る病気として膀胱炎などがあります。
考えられる主な病気
- 甲状腺機能亢進症
- クッシング症候群
- 糖尿病
- 腎不全
- 下部尿路感染症
- 血尿症
- 尿道炎
- 膀胱炎
- 多飲多渇症
- 膀胱腫瘍
など
発熱
ネコちゃんの発熱の原因として様々な病気が考えられますが、最も多いのが風邪です。ただし、風邪の場合でもウイルスの種類によっては命に関わる危険性がありますので、注意が必要です。夏場の発熱の場合には、熱中症を疑う必要があります。
考えられる主な病気
- 風邪
- 熱中症
- 細菌性皮膚炎
- 急性胃炎
- 子宮蓄膿症
など
脱毛
ネコちゃんの脱毛は、ノミアレルギー性皮膚炎などの外的要因により起こっているものと、アトピー性皮膚炎などの内的要因とに分けることができます。脱毛がみられたら、どこを痒がっているのか、フケやかさぶたがあるかなどを確認して、異常があればすぐに当院を受診してください。
考えられる主な病気
- ノミアレルギー性皮膚炎
- ニキビダニ症
- アトピー性皮膚炎
- ホルモン性皮膚炎
- 疥癬
- 円形脱毛症
など
口臭
口臭の原因の多くは、歯周病などの口腔内の病気です。ただし、胃や腎臓などの内臓の疾患が原因で発生することもあります。よだれや歯茎の腫れなどがともなう場合には、歯周病の可能性が高いと言えます。嘔吐や貧血などをともなう場合には、腎不全や尿毒症などを疑う必要があります。
考えられる主な病気
- 歯周病
- 口内炎
- 腎不全
- 尿毒症
など
目やに・涙
大量の目やにや涙が出ていたり、瞼が腫れ上がったりしている時には、風邪のほか、目の病気を疑う必要があります。また、全身の病気や、他のネコちゃんとの喧嘩により怪我が原因で症状が現れている場合もあります。
考えられる主な病気
- 風邪
- 角膜炎
- 角膜潰瘍
- 結膜炎
- 結膜下出血
- 白内障
- 緑内障
- 網膜剥離
- 眼瞼内反症
- 流涙症
- 瞼の怪我
など
注意しておきたいネコちゃんの病気
急性腎不全
急性腎不全とは感染性の腎疾患で、腎臓が小さく萎縮したり、発生した腫瘍の発育につれて腎機能が低下したりします。急性腎不全にかかると、飲水量や尿量が減ります。場合によっては、尿がまったく出なくなるケースもあります。
慢性腎不全
高齢のネコちゃんに多くみられ、ネコちゃんの死因のうち最も多い病気です。多飲・多尿などの症状がみられ、腎機能が少しずつ低下していき、最終的には腎不全の悪化により命を落とすことがあります。
尿路結石症
尿路結石症とは、尿の通り道である「尿路」に石ができる病気です。ホルモンの異常、ストレス、ウイルスなど様々な原因が考えられます。尿路に石ができると尿の出が悪くなったり、まったく出なくなったりします。尿がまったく出なくなると、数日で元気がなくなり命を落とす危険性がありますので、そうなる前に尿路に詰まっている石を取り除く治療を行います。
子宮蓄膿症
雌のネコちゃんの子宮内部に細菌が感染して、膿が溜まる病気です。嘔吐、発熱、多飲・多尿などの症状がみられ、重度の場合には腎不全を起こす場合もあります。子宮蓄膿症は避妊手術を受ければ予防することができます。
甲状腺亢進症
甲状腺亢進症とは、甲状腺ホルモンの分泌が異常に活発になる病気で、心臓や腎臓などの内臓に負担がかかります。高齢のネコちゃんに多くみられる病気で、放置すると命を落とす危険性があるので注意が必要です。